神保町と音楽
鶴谷洋服店のお隣りは、神保町ラドリオという素敵な喫茶店です。
壁一枚挟んで、流れている音楽が微かに聴こえることがあります。
また向いには、ミロンガ・ヌォーバというタンゴ喫茶があり、
細い露地には音楽が流れています。
他にも、中古レコード店、ジャズ喫茶、楽器店など、
この辺りには音楽が溢れており、街の風景に彩りを添えています。

かく言う私共も、音楽が好き、或いは音楽と風景の関係について
考えるのが好きなので、神保町と音楽についても、
考察していきたいと思います。
好みに左右されるデリケートな問題でもあるので、
冷静に参りましょう。

宝塚ファンだった鶴谷の伯母は、シャンソン喫茶として
親しまれていたラドリオから聴こえる、
コーちゃん(越路吹雪)の『愛の讃歌』などをBGMに、
夕飯の支度を楽しんだようです。

ところで、先日、如水会館にて神保町一丁目町会の新年会がありました。
町会レディース部による大正琴の演奏がありました。
数曲目の『上を向いて歩こう』では、
小宮山書店会長のリードでの合唱に。
神保町では、もしかしたら有名なのかもしれませんが
会長のプロはだしの歌声には、大変驚きました。

神保町 タンゴ喫茶劇場
いつでもネクタイにサスペンダーが定番の伯父でした。
通りからガラス越しに仕事をしている姿を見せる事も
商いの内なのだ…と。きちんとした身なりを心掛けていたのです。
因みに伯父の先代は、洋服仕立屋と言えども和服にたすきがけで、
仕事をしていたと聞きます。

若い頃の伯父は、店頭でお客様に接する事なく、
奥でただひたすら手を動かしていた為、着たきり雀…
かどうかは解りませんが、糸屑だらけだった様です。
先代が亡くなり、伯父の代となってから徐々に
身なりも商売の内、と気を使う様になりました。
お客様を引き立てる為に、自分の服装は最新ではなく、
少し時代遅れを良しとしました。
ベルトをしての座り仕事は苦しいので、サスペンダーに
落ちつきました。

そんな伯父の晩年の姿がモデルになっていると思われる一節が、
「神保町タンゴ喫茶劇場」という本の冒頭にあります。
鶴谷洋服店の斜め向かいのミロンガ・ヌオーバで働く、
堀ミチヨさんの新作です。

伯母に登場箇所を読み聞かせた所、「思いもかけないね。」と、
伯母らしく素っ気ない反応でしたが、満更でもない様子でした。


神保町シアターお正月特別興行
神保町シアターでは、今日1月4日(水)から13日(金)まで、
お正月特別興行として「巨匠たちのサイレント映画時代」
を特集します。
小津安二郎監督の『生れてはみたけれど』『東京の合唱』、
成瀬巳喜男監督の『生さぬ仲』『夜ごとの夢』ほか、
昭和6〜10年の無声映画に、活弁士やピアノ伴奏をつけての
上映です。
名監督の初期作品を楽しむチャンスです。


一月一日
昨年は、元日から伯母が入院する
という幕開けでした。

伯母は、四姉妹の次女です。
その姉妹の連れ合いが立て続けに亡くなり、
頼りにしていた、末の妹も目の前で脳出血で倒れ…
と、いろいろな事があった年でした。

どうか今年は
穏やかな良き年となる様
願わずに居れません。