シェ・モワ
神田神保町のすずらん通り。
利夫の足は、餃子専門店『スヰートポーヅ』へ。
(姉達は未だに『満州屋』と呼んでいる。)

注文し、ぼんやり待ちながら、いつもの空想に遊ぶ。
この店の2軒となりが、実家だったのだ。
父母や姉達、家族で囲んでいたテーブルは、
わずか数メートル先の位置だったのではなかろうか?

にわかタイムスリップも、
ビールと塩豆、
午後から楽しめる水餃子が運ばれてきたら
もう、どうでも良くなってしまうのだった。

約60年の変わらない味に満足して、
東京堂ふくろう店へ足を向けた。
入り口正面奥の、東京関連の書棚をいつも覗くのだ…

・・・
コレマタほんの数十メートルの移動だったはず。
でも、まるで時間も場所も、
はるか遠くまで来てしまった。
そんな錯覚に、としドンは眩暈した。

そこにあるはずの、利夫の知る東京堂ふくろう店は
数日前に、日本初の女性向け書店にリニューアルしていた。
店内すべてが、女性のための乙女空間へと様変わりしていたのだ。
バッグやアクセサリー等の雑貨もあり、
店は、多くの女性客で賑わっていた。

店名は『シェ・モワ』(わたしのおうち)だそうだ。
さっきの、空想の中の我が家は、差し詰め
(としドンのおうち、か)

利夫は、近い内に姉達を『シェ・モワ』に連れて来たいと思った。
すずらん通り生まれの、かつての乙女達を。


昭和21年
さくら祭り最終日の午後、
「懐かしいわ…。」とお二人のご婦人(お母様と娘さん)が来店されました。

「このお店をご存知でしたか?」
との問いに、にこやかに答えて下さいました。

お母様が昭和21年にご結婚の際、
お相手の新郎は、鶴谷洋服店で仕立てた…との事。
その時の写真を最近リニューアルしましたよ…と。

66年前からのお客様だったのです。

まだ空襲の傷跡が残る戦後の神保町。
若き新郎新婦の門出。
ささやかなお手伝いをさせて頂いた、鶴谷洋服店。
64歳の店主・鶴谷福太郎と、24歳の伯父。

そんな情景を思い描きながら、ただただ、
「ありがとうございます。」
の感謝の言葉しか出ませんでした。


神保町と野球
3月28日、29日はメジャーリーグ開幕戦が東京ドームであった。
利夫は両日観戦を楽しんだ。
松翁で蕎麦を食べ、球場へ。神保町からは徒歩10数分と近い。

彼が子供の頃は、
父親と自転車で後楽園スタヂアムに行った。
夕暮れに、ナイター照明へ変わる時の空が印象的だった。
そんな当時の球場の雰囲気が好きな彼は、
いつの間にか大リーグのテレビ中継を楽しむようになったのだ。

シアトル対オークランド戦に
としドンは少年のように興奮した。

フォークの神様・杉下茂、守備の神様・高林恒夫ともども
神保町の出身だ。
利夫や姉達にとって、杉下は「おまけやのお兄ちゃん」。
近所にあった杉下の実家は、『おまけや』という駄菓子屋だった。
三和土に巨大な靴があったよねー
と姉弟で懐かしく思い出したりする。

又、神保町は日本野球発祥の地でもあるそうで、
学士会館にその碑もある。


千鳥ヶ淵の桜の開花状況
千代田さくら祭りは、4月8日(日)までです。
千鳥ヶ淵緑道の夜桜ライトアップは、4月10日(20時)まで
延長になりました。

また神保町関連では、4月6日(金)〜8日(日)に

「千代田のさくらブックフェア」(千代田区役所1階区民ホールにて)
「靖国通りワゴンセール」(神保町古書店街靖国通りにて・雨天中止)

が併せて催されます。
お花見と一緒に、神保町散歩は如何ですか。