松本零士展
朝の冷え込みに、中々布団から出られない利夫は、
しばらく天井を眺めていると突然思い出した。
松本零士展が終わってしまう!!」
慌てて家を飛び出した。外は気持ちの良い天気だった。

場所はさいたま市立漫画会館
この施設がある、さいたま市北区盆栽町は、
関東大震災の被害から逃れた東京の盆栽業者たちが作った、
盆栽村である。緑が多く静かな住宅地に盆栽園が点在しており、
広い敷地に無数の盆栽が並んでいるのを、横目に見ながら
会館に到着。入場は無料だった。

そこには、宇宙戦艦ヤマト、銀河鉄道999、セクサロイド、
キャプテンハーロックなどの他、利夫がかつて、自身を投影して
夢中になって読んだ、男おいどんの原画があった。
最終話で、下宿にとりさんを残し、おばさんにも黙って旅立った
おいどんの行方を、利夫は今になってもわからずにいて、
心のどこかで探している。

満足して外に出るともう夕暮れ。日が短くなった。
「ラーメンライス食べて帰ろう。」と、
おいどん気分に浸りながらも、実は盆栽も一寸気になっている、
欲張りな利夫であった。