神保町で映画鑑賞
利夫はここのところ、テレビで座頭市を鑑賞するのを、
毎日の楽しみにしている。
神保町シアターで勝新太郎の映画上映中と知り、
久々に帰郷した。と言っても、彼の実家はもう無いが。

利夫は、生まれ育った神保町に来ると、
喧騒の中でもホッとして、駿河台下の交差点で、
いつも深呼吸する。

目的の映画は『化身』である。
神保町シアターで整理券付き入場券を購入してから、
神田藪にて昼飯。としドンは、蕎麦が好物なのである。
いつもはせいろだが、季節物の牡蠣そばを注文した。
種物で温まったが、表に出ると小雪が舞っていた。

映画館は、利夫と同年代の初老の男達で満席。
昼から少々酒臭いのも、演目から、有りか。
監督の森一生は、座頭市も手がけた大映の大御所だ。
勝新が三味線を手にしたシーンで「お~…」と
空気が動いた。

午後のニュースで淡島千景の訃報を知った。
おけいちゃんも、逝ってしまったか…と、
利夫は、遠き昭和を懐かしく思った。